2025/08/03 20:52
BLESSの服に、説明を添えることは少しむずかしい。
というより、着た人が"どう感じたか"のほうがずっと正確で、たぶん豊かだから。

たとえばこのUltrawidepleated。
名前の通り、超ワイドで、プリーツがびっしり入ったやつ。
見た目はほぼスカート。でも、履くとちゃんとパンツ。いや、どっちでもない。
もはや"BLESS"ってカテゴリにしてもらったほうがしっくりくる。
BLESSは、「これはこう着てね」とか絶対言ってこない。
むしろ「あなたがどう着るかを、わたしたちは楽しみにしてる」みたいなスタンス。
なんなら、服って"未完成"でいいんじゃない?って考え方。
それってちょっと、着る人を信頼してる感じがして、グッとくる。
で、このパンツも例外じゃない。
ヒール履いても良いし、タンクトップ1枚でも成り立つ。
めちゃくちゃ個性的なのに、なぜか"自分に合ってる気がする"って思わせてくる、不思議なバランス。
なんでこれ欲しくなるんだろう?って考えてみたんたけど、たぶん「何者かになろうとしなくても成立する」からだと思う。
服って、ちょっと背伸びさせたり、演出させたりするものが多いけど、これはむしろ、自分の輪郭をちょっとぼかしてくれるというか、"そのままでいさせてくれる"感覚がある。気張らなくても、自然と佇まいが整う。

BLESSはよく、季節や業界のサイクルに左右されないことで知られているけど、それは単に"逆張り"してるというより、自分たちのリズムで呼吸しているだけなんだと思う。
いま着るべき服、というより、ずっとここにあって、いつでも手に取れる服。
時間から少しだけ外れてくれるような、頼もしい不思議さがある。
「We don't want to make fashion. We want to make things that live with people.」
BLESSは過去に「私たちはファッションを作りたいんじゃない。人と共に生きていくものを作りたい」と語っていた。
服を完成されたスタイルとしてではなく、未完のプロトタイプとして世に差し出す。
そこからどう生きるか、どう関わるか、着る人それぞれに委ねられている。
BLESSの服は、きっと"発見"というより"発露"に近い。
着ることで"自分という存在そのものにふと出会ってしまう"ような感覚が、BLESSの服にはあると思う。

BLESSを着ると、自分の輪郭がちょっとだけ柔らかくなる気がする。
Ultrawidepleatedは、その"ちょっとだけ"を大事にできるパンツ。
たぶん、そういう服のほうが長く付き合える。